データサイエンスを用いてオリジナルの競馬予想モデルを作ろう!!–③特徴量の作成

はじめまして!さかなちゃんです!

「競馬予想AIモデルを自力で作ってみたい!」「予想を自動化させたい!」

前回の記事では、競馬予想モデルを作成する上での基盤となる「データ収集」について詳しく解説しました。
収集したデータがモデルの基礎を形成する一方で、そのデータをどのように活用するかが、予測精度に大きく影響します。
今回のテーマである「特徴量の作成」は、データから有用な情報を抽出し、モデルにとって重要な要素を取り出すプロセスです。
特徴量がどれだけ効果的に設計されるかが、モデルの成功を左右する鍵となります。
このステップをしっかり理解し、最適な特徴量を作成することで、競馬予想モデルの精度を大幅に向上させることができます。

この記事は次のような人におすすめ!
  • データサイエンスの分野に興味がある!
  • 競馬予想を自動化させたい!
  • 競馬やプログラミングに興味がある!
  • 競馬予測モデルの作り方をざっくり知りたい!
  • 競馬予想のためのデータの使い方を知りたい!

①特徴量とは何か

そもそも特徴量って何のこと?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特徴量の基本概念

特徴量とは、機械学習モデルがデータをもとに予測を行うために使用するデータの要素です。
モデルは、この特徴量を基にパターンを学習し、未来の結果を予測します。
例えば、競馬予想における特徴量としては、馬の過去成績騎手の実績天候コース条件などが考えられます。
これらの要素が適切に選ばれることで、モデルはより精度の高い予測を行うことが可能となります。

情報の抽出と形式変換

特徴量作成のプロセスでは、まずデータから有用な情報を抽出し、それをモデルが理解しやすい形式に変換することが重要です。
例えば、馬の過去成績を数値化したり、騎手の能力をランキング形式で表現することで、モデルが効率的に学習できるようにします。
また、カテゴリカルデータを数値データに変換するエンコーディングや、連続データを正規化することで、モデルがデータを適切に処理できるように整えます。

特徴量の質とモデルの性能

特徴量の質は、モデルの性能に直接影響を与えます。
適切に選ばれた特徴量は、モデルが重要なパターンを正確に学習し、高い予測精度を達成するための鍵です。
逆に、無関係な特徴量やノイズを含んだ特徴量が多いと、モデルの性能が低下し、予測の精度が損なわれます。
そのため、どの特徴量がモデルにとって有用であるかを見極め、慎重に選定することが重要です。

②競馬予想における特徴量の種類

競馬を予想するときに何を重視しているか考えてみましょう!

馬の過去成績

競馬予想モデルで最も重要な特徴量の一つが、馬の過去成績です。
過去のレースでの成績は、その馬の能力や調子を示す指標となります。
具体的には、過去のレースでの順位、勝率、上がりタイム、レース距離やコース条件に対する適性などが挙げられます。
これらの情報を組み合わせることで、特定の条件下での馬のパフォーマンスを予測し、次のレースでの成績を推測することが可能です。
たとえば、同じ距離での連勝記録がある馬は、次のレースでも好成績が期待できるといった予測が立てられます。

騎手の能力

騎手の能力も競馬予想において重要な特徴量の一つです。
騎手は馬をコントロールし、レースの結果に大きな影響を与えます。
騎手の過去の勝率、得意なコースや距離、騎乗回数や経験年数などが、予測に役立つデータとして考えられます。
また、特定の騎手と馬との相性も重要な要素です。
同じ騎手が複数回騎乗した馬が安定した成績を残している場合、その騎手と馬のコンビが次のレースでも良い結果を出す可能性が高いと考えられます。
騎手の技術や経験を定量化し、予測に取り入れることで、モデルの精度が向上します。

コース特性と天候条件

コース特性天候条件も、競馬予想において無視できない特徴量です。
競馬場のコースはそれぞれ異なり、直線が長いコースやカーブが多いコース、芝やダートの違いなど、馬に与える影響が大きく異なります。
さらに、天候条件もレース結果に大きな影響を与えます。
雨が降ると芝が重くなり、ダートがぬかるむことで、馬の走りが変わります。
過去に特定のコースや天候条件で好成績を収めた馬は、同様の条件下でのレースでも良い結果を出す可能性が高いと予測できます。
これらの要素を特徴量としてモデルに組み込むことで、より精度の高い予測が可能になります。

③特徴量の作成プロセス

コード例を見ながら、特徴量の作り方を学びましょう!

データの変換と集計

特徴量を作成する際、最初のステップは元データをモデルに適した形に変換し、集計することです。
例えば、過去のレース結果データを用いる場合、馬ごとに過去の成績を集計し、勝率平均タイムなどの特徴量を作成します。
このとき、過去10レースの成績を平均する、特定のコースや距離に絞って集計するなど、目的に応じてデータを加工します。
PythonPandasを使えば、groupbyやagg関数を用いて簡単に集計が可能です。
このように、データを適切に集計することで、モデルが理解しやすい形式に変換できます。

フィルタリングとエンコード

次に、必要なデータだけを抽出するフィルタリングのプロセスがあります。
例えば、特定のレース条件や馬齢に基づいてデータを絞り込むことで、モデルにとって重要な情報だけを取り出すことができます。
また、カテゴリカルデータ(例: 騎手名、コース名)を数値に変換するエンコードも重要です。
これには、Pandasのget_dummiesを使ったワンホットエンコーディングや、LabelEncoderを用いたラベルエンコーディングが役立ちます。
エンコードされたデータは、モデルが適切に学習できる形式で提供され、予測精度の向上に寄与します。

PythonとPandasを使った実践例

具体的な例として、馬の過去成績データを使った特徴量作成を考えてみましょう。
例えば、以下のようなコードを用いて、各馬の過去5レースの勝率を計算できます。

import pandas as pd

# 過去のレースデータを読み込み
race_data = pd.read_csv('race_results.csv')

# 馬ごとに過去5レースの勝率を計算
race_data['win'] = race_data['position'] == 1
horse_stats = race_data.groupby('horse_id')['win'].rolling(5).mean().reset_index()

# 勝率を特徴量としてマージ
race_data = race_data.merge(horse_stats, on=['horse_id', 'level_1'], suffixes=('', '_5r_win_rate'))

このコードでは、Pandasを使って簡単に馬ごとの過去5レースの勝率を特徴量として計算し、元のデータに統合しています。
こうした特徴量をいくつも作成することで、モデルに多くの有用な情報を提供でき、予測の精度を大幅に向上させることができます。

特徴量の作成は、データから必要な情報を抽出し、モデルが理解できる形に加工する重要なプロセスです。
適切な変換フィルタリングエンコードを行うことで、モデルの性能を最大限に引き出すことが可能になります。

④特徴量選択とエンジニアリング


作成した特徴量が全て活かされるとは限りません。むしろノイズになってしまう情報は取り除く必要があります。

特徴量選択の重要性

特徴量を作成した後、その中からモデルにとって有用な特徴量を選択することが重要です。
すべての特徴量が必ずしも予測に役立つわけではなく、無関係な特徴量ノイズを含むデータがモデルに悪影響を及ぼす可能性があります。
特徴量選択を適切に行うことで、モデルの精度を向上させるだけでなく、計算リソースを節約し、学習プロセスを効率化することができます。
特徴量選択は、モデルが学習すべき重要なパターンを正確に捉えるための基盤となります。

特徴量選択の手法

特徴量選択にはさまざまな手法があります。
まず、相関分析を用いて、各特徴量がターゲット変数とどの程度関連しているかを確認します。
相関が高い特徴量は予測に有用である可能性が高く、低い特徴量はモデルから除外することを検討します。
さらに、フィーチャーインポータンスを利用することで、モデルにおける各特徴量の重要度を評価できます。
たとえば、ランダムフォレストやXGBoostなどのツリー系モデルは、各特徴量のインポータンスを自動的に計算する機能を備えています。
L1正則化(ラッソ回帰)も有効な手法であり、この手法では不要な特徴量の重みが自動的に0に調整されるため、特徴量のスクリーニングが容易に行えます。

過剰適合の防止と解釈性の向上

特徴量選択を行う際には、過剰適合(オーバーフィッティング)を防ぐことも重要です。
過剰適合は、モデルがトレーニングデータに過剰に適応し、汎化性能が低下する現象です。
これを防ぐために、クロスバリデーションを活用し、選択した特徴量がテストデータに対しても一貫して有効であるかを確認します。
また、モデルの解釈性を高めるためには、選択した特徴量がどのように予測に貢献しているかを理解することが重要です。
シンプルな特徴量を優先し、過度に複雑な特徴量は避けることで、モデルの透明性と信頼性を確保します。

特徴量選択とエンジニアリングは、モデルの性能を最大化し、過剰適合を防ぐための重要なプロセスです。適切な特徴量を選ぶことで、モデルはより正確かつ効率的に予測を行うことができ、実際の競馬予想においても有用なツールとなります。

⑤特徴量作成の実践例

サンプルコードを見ながら、どのように特徴量作成をするのか学びましょう!

過去レースの連勝記録

競馬予想モデルで重要な特徴量の一つに、馬の過去レースでの連勝記録があります。
連勝している馬は、現在の調子が良く、次のレースでも良い成績を収める可能性が高いと考えられます。
この特徴量を作成するには、まず各馬の過去レース結果を取得し、連続して1位を獲得したレース数をカウントします。
PythonとPandasを使用して、馬ごとのレース結果をグループ化し、連勝記録を計算することができます。
このデータをモデルに組み込むことで、現在の調子が良い馬を優先して予測することが可能になります。

以下のコードでは、連勝記録を計算し、データフレームに追加する方法を示します。

import pandas as pd

# 過去レース結果データを読み込み
race_data = pd.read_csv('race_results.csv')

# 勝利したレースを1、それ以外を0とする新しい列を作成
race_data['win'] = (race_data['position'] == 1).astype(int)

# 馬ごとに連勝記録を計算する
race_data['consecutive_wins'] = race_data.groupby('horse_id')['win'].cumsum() - race_data.groupby('horse_id')['win'].cummax().shift(fill_value=0)

# 結果を確認
print(race_data[['horse_id', 'race_id', 'win', 'consecutive_wins']].head(10))

このコードでは、馬ごとの過去レースの成績に基づき、連勝記録を計算して新しい列に追加します。cumsum()とcummax()を組み合わせることで、連続して勝利した回数をカウントします。

騎手と馬の組み合わせの勝率

もう一つの有用な特徴量は、騎手と馬の組み合わせに基づく勝率です。
特定の騎手と馬のコンビが相性が良く、高い勝率を持つ場合、そのコンビが次のレースでも好成績を収める可能性が高いと予測できます。
この特徴量を作成するには、まず騎手と馬のペアごとの過去レース結果を集計し、その勝率を計算します。
具体的には、過去に同じ騎手が騎乗したレースの結果を集計し、勝率を算出します。
この勝率を特徴量としてモデルに追加することで、特定の騎手と馬の組み合わせが持つ優位性を反映させることができます。

騎手と馬の組み合わせに基づく勝率を計算するためのコード例を以下に示します。

# 騎手と馬の組み合わせごとの勝率を計算
jockey_horse_stats = race_data.groupby(['jockey_id', 'horse_id'])['win'].mean().reset_index()

# 勝率を新しい列として追加
jockey_horse_stats = jockey_horse_stats.rename(columns={'win': 'jockey_horse_win_rate'})
race_data = race_data.merge(jockey_horse_stats, on=['jockey_id', 'horse_id'])

# 結果を確認
print(race_data[['jockey_id', 'horse_id', 'jockey_horse_win_rate']].head(10))

このコードでは、各騎手と馬のペアごとに過去レースの勝率を計算し、それを新しい列としてデータフレームに追加します。これにより、特定の騎手と馬の組み合わせが持つ勝率を特徴量としてモデルに組み込むことができます。

前走と次走の関連性

前走の結果をもとに次走を予測することも、競馬予想において有効な手法です。
前走の着順やタイム、特定の条件下でのパフォーマンスが次走にどう影響するかを特徴量としてモデルに取り入れることで、予測精度を高めることができます。
例えば、前走で特定の距離やコース条件で良い成績を収めた馬は、同じ条件下で再び良い成績を出す可能性が高いと考えられます。
この特徴量を作成するためには、前走のデータを元に次走との関連性を計算し、それをモデルに組み込みます。
これにより、特定の条件下での安定性やパフォーマンスを考慮した予測が可能となります。

前走の結果をもとに次走の予測に関連する特徴量を作成するコード例です。

# 過去レース結果を馬ごとに前走と次走の関係を作成
race_data['prev_race_position'] = race_data.groupby('horse_id')['position'].shift(1)

# 前走の結果を基に特徴量を作成
race_data['improved_position'] = race_data['prev_race_position'] - race_data['position']

# 結果を確認
print(race_data[['horse_id', 'race_id', 'prev_race_position', 'position', 'improved_position']].head(10))

このコードでは、前走の結果を利用して次走の成績がどのように改善されたかを示す「improved_position」という特徴量を作成します。shift(1)を使用することで、前走の位置情報を取得し、次走との比較を行います。

特徴量作成の実践例として紹介しましたが、これらはほんの1例です。これらの特徴量を効果的に活用することで、より正確な予測を行い、競馬の結果を予測する際に大いに役立てることができます。

まとめ

それでは、今回の内容をおさらいします。

  • 特徴量の質がモデルの予測精度を大きく左右する。
  • 適切な特徴量選択とエンジニアリングが重要。
  • 次回は「モデルの作成と評価」を詳しく解説予定。

今回のブログでは、競馬予想モデルにおける「特徴量の作成」が予測精度にどれだけ重要であるかを解説しました。
特徴量の質がモデルのパフォーマンスを大きく左右し、成功の鍵を握ることが再確認できたと思います。
適切に設計された特徴量は、モデルが正確な予測を行うための基盤となります。

次回は、「モデルの作成と評価」に焦点を当て、これまで作成した特徴量を活用して実際の予測モデルを構築し、その性能を評価するプロセスを詳しく解説します。

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